株主・投資家の皆様へ

 株主の皆様には、平素より格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。

 2022年度の業績につきましては、売上高が前連結会計年度に比べ106億2千1百万円増収の927億6千6百万円となりました。この売上高増収のほぼ全てが鋼材・資材・物流費等の高騰に対するお客様への売価反映と為替変動の影響によるものであり、実質的な売上高は前年とほぼ同水準となりました。
 損益の状況につきましては、営業利益は前期に比べ14億7千2百万円減益の3億5千4百万円となりました。
 実質的な売上高が伸びない一方で、鋼材・資材・物流費及び動力光熱費に関して第2四半期から急激なインフレが進み、その結果、年間のインフレ額は77億円にのぼり、大幅なコスト増となりました。お客様への売価反映と全員参加の全費目に関する合理化改善により、懸命な挽回を図りましたが、商慣行上翌期への時期ずれ反映対象も存在し、コスト上昇影響を相殺するには至りませんでした。合理化改善としては原価改善活動を推進する一方、2023年度の主要なお客様の増産計画にスムーズに追従するための製造設備に対する事前メンテナンス費用の投入、また事業構造改革により収益改善効果の出てきた北米事業改善をさらに加速させる先行投資など将来の収益基盤強化のための「意志ある」コスト投入も併せて実施しており、収益減少の一要因となりました。「意志ある」コスト投入は、次年度以降の増産および製品の高付加価値化に対する収益確保力の強化に寄与いたします。
 経常利益は前連結会計年度に比べ18億6千2百万円減益の15億7千2百万円となり、前期に比べドルに対するインドネシア・ルピア安の影響が前年の影響幅を上回り、減益となりました。
 また親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ、13億2千万円減益の4億8千1百万円となりました。

 主要なお客様の自動車生産台数は未だ不透明な部分はあるものの、2022年度に比べ増加すると予想しております。特に、設備投資は拡販および高性能・高付加価値製品対応投資を2022年度比で約2倍の過去最高額を実施する予定であり、将来に向けた生産能力増強のマイルストーンとなる年度とする計画を立てております。
 収益面では、インフレ圧力の鎮静化は期待されるものの、鋼材・資材・物流費および動力光熱費等の価格高止まりや不安定な為替レート動向によるコスト上昇圧力は依然強いと想定いたします。そのような状況のなか、生産台数の増加に確実に追従することに加え、更なるあらゆる費目に対する合理化改善施策を徹底することにより、コスト上昇圧力を凌駕し、2023年4月26日公表通りの増収、営業利益増益計画を実現するべく対応いたします。
 一方、経常利益につきましては、想定為替レートが2022年度末より円高方向に振れる前提にたち、2022年度実現した円安による営業外増益効果が消滅することから、減益予想としております。
 当社を取り巻く様々な環境の変化の中、従来の製品・原価構造では収益確保が不透明となり、新たな価値を生み出す事業構造への変革のため、2023年5月31日に中長期経営計画を開示いたしました。
クリエイティブカンパニーとして、「商品力の強化」「事業の選択と集中」「原価低減の強化」を中心に、取り組んでまいります。

 今後とも皆様の変わらぬご支援とご指導を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

2023年6月